母親に対して凍りついていた心が、
少しずつ解凍されていった頃。
一緒にランチへ行ったとき、
ふとこんなことを思いました。
「あれ?
母親が好きな食べ物って、なんだったんだろう」
「あれ?
わたしの好きな食べ物って、母親と好みが似ているな」
「もしかして、これも好きなんじゃないかな」
「こんなお店に連れてきたら、喜ぶかもしれないな」
そんな想いが、
自然と浮かんできました。
気づけば、
母親に対して張りつめていた緊張の糸がほどけて、
子育てで感じていることを話したり、
母親の老後のことを話したり、
ただ一緒に過ごす時間そのものが、
とてもあたたかく感じられました。
「この充実感、久しぶりだな」
そう思ったとき、
長いあいだ味わえなかった安心を
感じていたことに気づきました。
四十五年の月日を経て、
わたしはようやく、
素直に母親を独占し、
母親からの愛を受け取れたのかもしれません。
そんな気づきをもらった、
大切な時間でした。